編入試験解いてみた 農工大 2024
反応速度に関する問題です。
問題を解くために変数分離や対数に関する計算法が必要なので数学や物理との関連が強い問題でした。知識よりも考える力が重要だと感じる問題でした。
キーワード
- 擬一次反応
- 加溶媒分解反応
- 変数分離
編入試験解いてみた 筑波大学 令和5年度 化学類
過去問はこちら
今回は筑波大学 化学類の令和5年度の編入試験の過去問を解いてみたの記事です。
毎回思いますが、筑波大学の過去問は他の大学よりも専門性が深いと感じますね。
pHやネルンストの式などは編入試験でよく出る計算問題です。ジボランの分子構造が出てきたのは意外でした。
キーワード
- 硫酸のpH計算(二価の酸)
- 緩衝液のpH計算(ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式)
- ネルンストの式
- 酸性条件下における過マンガン酸カリウムとシュウ酸の酸化還元反応
- VSEPR則 (XeF2, XeF4)
- ジボランの分子構造 (三中心二電子結合)
- オクテット則
結晶構造はNaCl型の他、CsF型や体心立方、面心立方、六方最密構造などがあり、これらの構造を覚えていなければ解けない問題も多くあります。
積分速度式はアトキンス物理化学の下巻で登場する内容であったため、求められる専門性の深さを感じました
キーワード
- NaCl型結晶構造
- 結晶の密度計算
- ボルン・ハーバーサイクル
- 化学反応速度論
- 一次反応の解析
- 積分速度式
基本的なIUPACの他、立体構造を表記するR,S表記やアルケンのE,Z表記など満遍なく出てきたなという問題です。グリニャール反応の部分でアセタールが外れているのは少しひっかけ問題のような複雑さがありました(アセタールは酸性条件で外れるのでグリニャール反応の後処理とアセタールの脱保護が同時に行われています)。リンドラー還元やオスミウム酸化などでは生じる化合物がどの異性体であるかもしっかり覚えている必要があります。
キーワード
- IUPAC命名法
- 立体配置表示(R/S)
- アルケンのE, Z表記法
- 分子内水素結合形成によるアニオンの安定化
- イス型配座の安定性
- 六員環の1,3-ジアキシアル反発
- ゴーシュ反発
- アルドール反応
- クライゼン縮合
- リンドラー還元
- オスミウム酸化
- 芳香環のニトロ化
- SN2反応
- walden反転 (ワルデン反転)
- グリニャール反応
- アセタールの脱保護
- Wittig反応 (ウィッティヒ反応)
筑波大学があるつくば市は街全体がきれいで洗練されていました。キャンパスは森と呼ばれるほどに緑豊かな面もあり、楽しいキャンパスライフが過ごせそう。つくばエクスプレスなど東京へのアクセスも良く、実際に東京のベッドタウンとしての機能も持つそう。
解答は間違いがないよう注意を払っていますが、個人が考えているものですので、ミスがあった場合はご容赦ください。コメントで教えていただけますと幸いです。
読者の方々が化学を理解するのに、少しでも役立てればこのブログを作った意味が生まれます。
参考サイト
編入試験解いてみた 東京農工大学 2023 化学
過去問はこちら
東京農工大学の過去問は公表されていますので、ぜひ自分の勉強に活用してください。
無機化学は[1]が軌道論に関する問題、[2]が酸解離定数や溶解度積を用いた計算が主体の問題、[3]が定量分析(滴定)に関する問題でした。
キーワード
- 原子の軌道エネルギーと電気陰性度の関係
- 一酸化窒素の常磁性 分子軌道論を用いた説明
- 一酸化窒素とニトロソニウムイオンの比較 結合次数
- 結合長の比較 結合次数と電子密度
- 二酸化炭素水溶液の酸解離定数
- 溶解度積、pH、酸解離定数の関係
- 定量分析
- ヨウ素還元滴定(間接ヨウ素滴定、チオ硫酸ナトリウム滴定)
今回の問題はファンデルワールス方程式が中心となった問題でした。計算も出てきましたが、教科書レベルの計算であり、やったことがあれば計算過程も思い出せるような問題でした。
キーワード
編入試験における有機化学では非局在化というワードが頻出します。今回も[1]でそれが出てきました。[2]はSN1という反応機構に関する問題です。編入試験でよく出る反応機構はSN1またはSN2の反応機構が頻出です。[3]は有機化学の反応全般です。(1)は置換基のo,p配向性の他、t-butyl基の立体障害も考慮して考える必要があります。
キーワード
受験生の方々は健康に注意しながら勉強を頑張ってください
他にもこんな説明が欲しい、もっと詳しく知りたいなどありましたらコメントいただけると幸いです。
本記事は編入試験の対策として高専生を読者として想定していますが、大学院の院試などへの活用もぜひしてみてください。また、普段の化学の勉強としてやってみるのもおすすめです。
解答は間違いがないよう注意を払っていますが、個人が考えているものですので、ミスがあった場合はご容赦ください。コメントで教えていただけますと幸いです。
編入試験解いてみた 神戸大学理学部化学科2020
過去問はこちら
範囲は大学1,2年の内容が多い印象でした
[Ⅰ] 物理化学
キーワード
- 等核二原子分子の分子軌道
- σ、π軌道
- 結合性軌道
- 反結合性軌道
- パウリの排他原理
- フントの規則
- 酸素分子の分子軌道
- オクテット則
分子軌道のなかでも酸素はその常磁性は分子軌道によって説明できるので編入試験ではよくでてきます。他にもフント則やパウリの排他律は出やすい部分なので覚えておいて損はないです
[Ⅱ] 物理化学
キーワード
- 吸光度測定(ランベルト・ベールの法則)
- 透過率 = 10 ^ (-モル吸光係数 * モル濃度 * 経路長)
- 単純立方格子の充填率
- 体心立方格子の充填率
- 第二近接イオン及び第三近接イオンの数の算出
体心立方格子や面心立方格子はよく出ますが、単純立方格子がでてくるのは珍しいと思います。その構造を覚えていないと解くのが難しいです
[ⅲ] 物理化学
キーワード
- 仕事の定義
- 熱の定義
・・・一番難しかった
[ⅳ] 物理化学
キーワード
- ボイル・シャルルの法則または理想気体の方程式
- 蒸発潜熱
フェーン現象というマクロな出来事を扱っており、物理よりな問題だなあという印象です
[ⅴ] 物理化学
キーワード
- 波動関数の直交性
直交というワードは数学の行列でもでてきますが、波動関数でも直交していると積がゼロになるという特徴があります。
[ⅵ] 物理化学
キーワード
単位は忘れがちだけど聞かれると以外と答えられないことも・・・
[ⅶ] 有機化学・物理化学
キーワード
- 酸解離定数と平衡定数
定数Kとはどんな定義であったか、それさえ覚えていればあとは考えるだけです
[ⅷ] 有機化学
キーワード
the 有機化学という感じでとにかくいろいろな反応がでてきます。[Ⅷ]の(2)はカルボン酸が求核剤として働き、臭素イオンが脱離基となります。この反応はSN2で進行するため、非プロトン性極性溶媒(アセトンなど)を用いると反応速度が上がります。
[Ⅷ]の(3)はまずアルケンと臭素分子が反応し、三員環のブロモカチオンを生じます。その後、ブロモアニオンが三員環の炭素に求核攻撃することで、三員環は開環し、臭素が二つ付いた生成物が得られます。
[Ⅷ]の(4)はアルコールがメシル化される反応です。ここでは反応の進行に伴い、塩化水素が生じるため、塩基であるピリジンを加えています。
[ⅸ] 有機化学
キーワード
- オゾン酸化
- グリニャール反応
- アルコールのブロモ化
- アルコールの酸化
- アルケンのヒドロホウ素化(逆マルコフニコフ)
合成ルートを考える問題の正解は一つではありません(例えばSwern酸化を使ってもできます)。有機化学の知識を総動員してうまくルートを考えられるとそこに楽しさがあります。
解答に訂正があります。
オゾン酸化ではO3とアルケンが反応後、Me2Sの添加あるいは酢酸溶媒中、亜鉛の添加など還元剤を加える必要があります。
アルケンのヒドロホウ素化ではBH3とアルケンの反応後、NaOH,H2O2を加える必要があります。
理学部化学科 "量子化学"の教科書
理学部化学科 "有機化学演習"の参考書
編入試験解いてみた 神戸大学理学部化学科2022
過去問はこちら
今回は神戸大学理学部化学科の2022年度編入学用の過去問解説となります
問題の範囲は大学1,2年生で学ぶものがほとんどでした。知ってれば解けるものも多く、他の大学とも範囲がかぶるものが多いという印象です
しかし今回の有機化学では酸と塩基で少し生成物が変わる問題や物理化学の量子数で名前やその特徴を答えるというように曖昧な理解ではミスが誘発されるような問題も含まれていました
一夜漬けの知識ではまず太刀打ちできない、知識と理解が必要とされる内容だと思います。
[Ⅰ] 物理化学
キーワード
- 量子数の種類と性質
- 水素原子のエネルギー
[Ⅱ] 物理化学
キーワード
- ボルン・ハーバーサイクル
[ⅵ] 有機化学
キーワード
- 酸性度と構造式
- 酸性度と共鳴構造、電荷の非局在化、誘起効果、電気陰性度
[ⅶ] 有機化学
キーワード
- SN2
- 立体反転(walden反転)
- ハロアルカンのヒドリド化
- 二級アルコールの酸化
- アルコールのハロゲン化
- アルケンの接触還元
[ⅷ] 有機化学
エポキシドの開環は酸性条件では安定なカルボカチオンを経由するような生成物(第3級>第2級>第1級)で進行するが、塩基性条件では立体障害の小さい方から攻撃される(第1級>第2級>第3級)
キーワード
- Diels-Alder反応、endo則
- ハロアルカンのニトリル化、SN2
- アルデヒドの還元
- 塩基によるエポキシドの開環
- アルケンのヒドロホウ素化(逆マルコフニコフ則)
- 酸によるエポキシドの開環(第三級及び第一級)
理学部化学科 "量子化学"の教科書
理学部化学科 "有機化学演習"の参考書
編入試験解いてみた 宇都宮大学農学部応用生命化学科2019
過去問はこちら
今回の記事は宇都宮大学農学部応用生命化学科の2019年の過去問解説となります
今回の問題を通して伝わってきたのは生物学と化学の関係がいかに重要かということですね
試験科目は化学となっていますが生物に関係の深い内容が多く出題されていました
非常に応用生命化学科らしい問題です
問題の内容は比較的高校範囲に近い内容で、大学範囲の問題は基礎的な問題が多い印象でした
問1 物理化学
キーワード
- 浸透圧と漬物の関係
問2 物理化学
キーワード
- 浸透圧の計算(ファントホッフ(van't Hoff)の式の利用)
問3 有機化学
キーワード
問4 有機化学
キーワード
問5 無機化学
キーワード
- クメン法
- 構造式の表現
問6 無機化学
キーワード
- アンモニア水(弱塩基)のpH計算
問7 無機化学
キーワード
- キレート剤
- 鉛の除去
- EDTAと鉛の錯体の構造式
- キレート効果の説明
問8 生物化学
キーワード
- ジペプチドの合成
- カップリング剤
- 保護基
高校化学
編入試験解いてみた 京都大学工学部2018
前回は2019年の過去問を解きましたが、共通点としては記述の問題がかなり多いということがありました。
難易度は他の大学と比べるとやはり全体的に難しい印象です
問題1では無機化学と物理化学が、問題2では有機化学が内容でした。
記述問題なので僕の答え以外にももっと適切な答えがあるかもという感じです。ただの参考としてみて下さい
問題1 無機化学・物理化学
この大問は前にやった京都大学の過去問よりかは簡単な印象をうけました。ただ、記述問題なので曖昧な理解だとうまく説明できないというトラップがあります。
問1
キーワード
- 水の状態図
- 三重点
- 圧力と融点の関係
問2
キーワード
問3
キーワード
- 二酸化窒素と四酸化窒素の分圧と平衡定数の関係
- 分圧と解離度
問題2 有機化学
反応にでてくる官能基は割と基礎に近いですが、その反応はちょっと専門力が試されるなあと思いました。また、有機化学の大問ですが理想気体の状態方程式のように物理化学があわさっているのが意外に思いました。
キーワード
問1
問2
- アルケンと臭素の反応
- ブロモニウムイオン中間体と生成物の立体配置
- ジブロモアルカンからアルキンの合成
- Lindlar触媒
問3
キーワード
- 理想気体の状態方程式
- 不飽和カルボン酸への臭素付加反応
- 不飽和カルボン酸への水素付加反応
問4
キーワード
- カルボニル基と水素の酸性度の関係