編入体験記 高専から東工大へ

高専から大学への編入についての体験を記事にしました

こんにちは。バンブ(@kosenhennyu)です。

編入試験解いてみた 宇都宮大学農学部応用生命化学科2019

 

過去問はこちら

 

今回の記事は宇都宮大学農学部応用生命化学科の2019年の過去問解説となります

今回の問題を通して伝わってきたのは生物学と化学の関係がいかに重要かということですね

試験科目は化学となっていますが生物に関係の深い内容が多く出題されていました

非常に応用生命化学科らしい問題です

 

問題の内容は比較的高校範囲に近い内容で、大学範囲の問題は基礎的な問題が多い印象でした

 

問1 物理化学

キーワード

  • 浸透圧と漬物の関係

 

問2 物理化学

キーワード

  • 浸透圧の計算(ファントホッフ(van't Hoff)の式の利用)

 

問3 有機化学

キーワード

 

問4 有機化学

キーワード

  • IUPAC命名法(2,3-ジメチルペンタン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、3-ペンチン酸メチル)

 

問5 無機化学

キーワード

  • クメン法
  • 構造式の表現

 

問6 無機化学

キーワード

 

問7 無機化学

キーワード

  • キレート剤
  • 鉛の除去
  • EDTAと鉛の錯体の構造式
  • キレート効果の説明

 

問8 生物化学

キーワード

  • ジペプチドの合成
  • カップリング剤
  • 保護基

 

新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)

高校化学

 

マクマリー 有機化学概説 (第7版)

農学部 有機化学Ⅰ及びⅡの教科書(2021)

 

基礎化学(新スタンダード栄養・食物シリーズ19)

農学部 基礎無機化学及び分析化学の教科書(2021)

編入試験解いてみた 京都大学工学部2018

 

今回は京都大学2018年の編入試験の過去問です

前回は2019年の過去問を解きましたが、共通点としては記述の問題がかなり多いということがありました。

難易度は他の大学と比べるとやはり全体的に難しい印象です

問題1では無機化学と物理化学が、問題2では有機化学が内容でした。

記述問題なので僕の答え以外にももっと適切な答えがあるかもという感じです。ただの参考としてみて下さい

 

問題1 無機化学・物理化学

この大問は前にやった京都大学の過去問よりかは簡単な印象をうけました。ただ、記述問題なので曖昧な理解だとうまく説明できないというトラップがあります。

問1

キーワード

  • 水の状態図
  • 三重点
  • 圧力と融点の関係

問2

キーワード

  • 塩化ナトリウム型構造
  • 塩化セシウム型構造
  • 塩化ナトリウムと塩化セシウムの構造の違い

問3

キーワード

  • 二酸化窒素と四酸化窒素の分圧と平衡定数の関係
  • 分圧と解離度

 

シュライバー・アトキンス無機化学 (上) 第6版

アトキンス物理化学〈上〉

 

 問題2 有機化学

反応にでてくる官能基は割と基礎に近いですが、その反応はちょっと専門力が試されるなあと思いました。また、有機化学の大問ですが理想気体の状態方程式のように物理化学があわさっているのが意外に思いました。

キーワード

問1

  • 構造異性体
  • 二クロム酸カリウムで酸化されないアルコール(三級アルコ―ル)
  • 不斉炭素

問2

  • アルケンと臭素の反応
  • ブロモニウムイオン中間体と生成物の立体配置
  • ジブロモアルカンからアルキンの合成
  • Lindlar触媒

問3

キーワード

問4

キーワード

  • カルボニル基と水素の酸性度の関係

 

マクマリー有機化学(上)第9版

マクマリー有機化学 問題の解き方(第9版) 英語版

 

編入試験解いてみた 神戸大学工学部2020化学

過去問はこちら

 

今回は神戸大学工学部の編入試験です

高校化学の知識+大学化学といった内容で範囲は比較的広いと感じました。逆に言えば化学が苦手な人でも高校化学の範囲だけでもやったら点数アップにつながると思います。

 

大問Ⅰ 物理化学

熱力学の範囲だったので物理学の勉強にもなるかなと思いました。問1は知らなくても解けますが、実在気体の状態方程式を覚えていると有利になる問題でした。

キーワード

問1

問2

キーワード

  • 定圧膨張過程におけるエンタルピーの算出
  • エンタルピーと定圧熱容量の関係

基礎物理学演習 (1) ((ライブラリ工学基礎物理学 (別巻=1)))

 

大問2 生物化学

内容的には高校化学の範囲でも解けるかなと思いました。アミノ酸の構造は覚えていないと解けないので覚える必要がありそうです。生物化学では緩衝液のようにpHが重要となる場面がいくつかあるため、ここでも弱酸が出てきたのだと思います.

問1

キーワード

  • 酸解離定数を用いた弱酸の濃度計算(炭酸)

問2 

キーワード

  • 酸解離定数を用いた弱酸のpH計算(炭酸)

問3

キーワード

問4

キーワード

問5

キーワード

新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)

 

大問3 有機化学

難易度は比較的簡単なものから初めて見るような反応もあったりとばらつきがありました.普段、僕はマクマリーを使って有機化学を学んでいるのですが、マクマリーには載っていないような反応もあり、戸惑いました.ちなみに、有機化学でわからない反応をネットで調べるときは日本語よりも英語で検索したほうがヒットしやすいです。問2の内容は編入試験では頻出なので対策して損はないと思います。

問1

キーワード

  • アルケンのオキシ水銀化-脱水銀反応(アルケンからアルコールの合成)
  • Markovnikov型水和物
  • アルキンとGrignard試薬の反応
  • パーキン反応(フルフラールと無水酢酸の縮合)
  • ケトンの還元(LiAlH4)
  • アルコールの脱水(アルケンの生成)

問2

キーワード

  • E1、SN2の反応速度と濃度変化の関係
  • カルボカチオン中間体
  • E1、SN2の反応速度と級数の関係
  • 誘起効果
  • 電荷の非局在化
  • 立体障害
  • SN1、SN2の反応速度と溶媒の関係
  • 溶媒和
  • 求核試薬の基底状態のエネルギー

 

ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)上

ボルハルト・ショアー現代有機化学 問題の解き方

 

大問Ⅳ 無機化学

傍観イオンという言葉は初めて聞きましたが、内容的にはそんなに難しくないんじゃないかなと思いました。高校化学の範囲で十分解けると思います。

問1

キーワード

問2

キーワード

  • 傍観イオン
  • イオン反応式

問3

キーワード

  • 中和
  • 酸塩基

 

新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

編入試験解いてみた 島根大学総合理工学部物質科学科化学系2017

 

過去問はここから

島根大学編入試験の過去問がオンラインで公開されているので過去問集めには困らないと思います

 

今回の編入試験解いてみたは島根大学の問題です

 

熱力学の問題を解いたのは久しぶりだったのでちょっと時間がかかりました・・・

問題自体は見たことあるような内容が多かったので、問題を多く解いた人ほど解けるような内容になっている印象でした

 

 

大問Ⅰ 一般化学

高校化学の内容が多いと感じましたが、なかなかマニアックな問題が多く、化学が好きで細かいところまで覚えている人向けかなと思いました

キーワード

  • 共有結合の有無
  • 物質の塩基性
  • ソーダライムガラスの原料
  • X線の遮蔽材料
  • 精密さと正確さの違い
  • 共通イオン効果
  • 錯体形成
  • 塩化銀

 

大問Ⅱ 物理化学

熱力学ではエンタルピーやエントロピーなど編入試験では頻出の問題でした。反応速度の部分では微分方程式から濃度変化を求める問題で、ちょっと珍しいと思います。微分方程式の問題は編入試験では物理の科目でよく出るので、数学・物理が得意な人はおすすめの問題です。

キーワード

  • 気体の定圧加熱に必要なエネルギー計算
  • 準静的膨張及び断熱自由膨張におけるエントロピー・エンタルピー・内部エネルギー・気体が吸収する熱量・仕事の計算
  • マクスウェルの関係式の導出
  • 反応速度と微分方程式

 

アトキンス物理化学〈上〉

アトキンス物理化学〈下〉

アトキンス 物理化学問題の解き方 (学生版) (第10版) 英語版

 

大問Ⅲ 有機化学

問3のようにSN1,SN2,E1,E2は編入試験ではよく出る問題なので、比較的解きやすい問題でした。

キーワード

  • 構造異性体(アルコール、エーテル、アルケン)
  • 構造と酸性度(アルコール、フェノール、カルボン酸、スルホン酸)
  • ケトンのグリニャール反応
  • アルケンへの付加反応(HClの付加)
  • フェノールのエステル化
  • フェノールの臭素化(求電子置換反応)
  • SN2反応
  • E2反応
  • 反応機構と濃度変化(反応速度)

 

マクマリー有機化学(上)第9版

編入試験 大学別 おすすめ参考書(主に化学)

僕のブログは基本、編入試験の過去問を解き、その答えや出題範囲をまとめたものが多いです

 

そんな中で同じ化学という分野でも大学によって必要な参考書が全然違うのは面倒だな~と感じてますww

 

高校生が受験する一般入試では学校の教科書が範囲ですが、編入試験では違います

 

例えば、有機化学について

宇都宮大学ではマクマリー有機化学概説という参考書でも十分カバーできますが、東工大はボルハルトショアーのようなより専門的な知識が求められたりなど

 

編入試験ではその大学にあった参考書選びが重要なのです(めんどくさいことに)

 

ということで、今まで僕が解いてきた過去問から各大学毎のおすすめ参考書をまとめていきます!!

ついでに参考書の特徴について、僕の独断と偏見による感想を交えながら語っていきます

 

 

 

 大学別おすすめ参考書

 

東京工業大学

・チャート式化学

セミナー化学基礎+化学

・マクマリー有機化学概説(ボルハルトショアー(上)がある場合は不要)

・マクマリー有機化学(上、中)(応用化学系教科書)

・ボルハルトショアー(上)(生命理工学系教科書)

・シュライバー・アトキンス無機化学(上)(応用化学系教科書)

・アトキンス物理化学(上)(応用化学系教科書)

 

東京農工大学

・チャート式化学

セミナー化学基礎+化学

・マクマリー有機化学概説

・バーロー物理化学(上)orアトキンス物理化学(上)

・シュライバー・アトキンス無機化学(上)

 

東北大学(共通化学)

・チャート式化学

セミナー化学基礎+化学

・マクマリー有機化学概説

・アトキンス物理化学(上)orバーロー物理化学(上)

・シュライバーアトキンス(上)orJ.D.Lee無機化学

・基礎物理学演習(Ⅰ)(←熱力学専用、物理学との併用可)

 

横浜国立大学

・チャート式化学

セミナー化学基礎+化学

・マクマリー有機化学概説

・ボルハルトショアー(高得点を狙う人むけ)

・J.D.Lee無機化学orシュライバー・アトキンス無機化学(上)

 

北海道大学

・チャート式化学

セミナー化学基礎+化学

・マクマリー有機化学概説

・J.D.Lee無機化学orシュライバー・アトキンス無機化学(上)

 

神戸大学(工学部)

・ボルハルトショアー(上)

・基礎物理学演習(Ⅰ)

・新化学基礎化学基礎+化学(チャート式・シリーズ)

 

宇都宮大学農学部

 

他の大学はまだ解いた過去問の数が少ないため今後更新していきます

 

参考書紹介

 

 新化学基礎+化学(チャート式・シリーズ)

特徴

・写真やイラストが多く、視覚的に分かりやすい

・語呂合わせなど覚えやすさへの工夫がある

・高校化学の内容はこれだけでも十分カバーできる

・問題数が普通、演習問題重視の人は別の参考書との併用が必要

・高校化学の王道ともいえるほどよく使われており、改定も盛ん

 

内容

・高校化学全体

 

 

新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)

新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)

  • 発売日: 2014/02/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

 セミナー化学基礎+化学

特徴

・問題数が多量

・難易度が優しめの問題からかなり難しく、応用力のいる問題まで幅広くある

・解説は割と丁寧

・改定版がかなり最近でたばかり

・予習よりも復習や試験対策むき

・巻末に英語の問題文がある(ただし、英語ができなくても化学が得意なら何となくわかる難易度だったりする)

・知識を必要とする問題から応用力、文章力が必要な問題がある

・個人的にこれ高校1or2年でマスターできれば化学オリンピックの出場考えてもいいと思う(ちなみに化学オリンピックでは大学の範囲の問題を高校化学の知識で解けるように工夫された問題が多く、大学化学に興味のある高校生はやってみると面白いかも)

 

内容

・高校化学全体

 

おすすめ大学

絶対使える・・・宇都宮大学東京農工大学横浜国立大学九州大学北海道大学

 

2020年度用 セミナー化学基礎+化学

2020年度用 セミナー化学基礎+化学

 

 

 

 

マクマリー有機化学概説

 特徴

有機化学を初をめて学ぶ人に一番おすすめできる参考書

・高校生の知識で読める(頑張れば中学生でもいけるかも・・・)

有機化学の基礎的な内容はしっかりカバーされている

・分かりやすさ重視のため、深い専門性はない

・人名有機反応は少ない

・後半の機器分析などは編入試験の出題範囲から外れることが多い

 

内容
1.構造と結合;酸と塩基
2.アルカン:有機化合物の性質
3.アルケンとアルキン:有機反応の性質
4.アルケンとアルキンの反応
5.芳香族化合物
6.四面体中心における立体化学
7.有機ハロゲン化物:求核置換と脱離
8.アルコール,フェノール,エーテル,および硫黄類似体
9.アルデヒドとケトン:求核付加反応
10.カルボン酸とその誘導体:求核アシル置換反応
11.カルボニル化合物のα置換反応と縮合反応
12.アミン
13.構造決定
14.生体分子:糖質
15.生体分子:アミノ酸,ペプチド,タンパク質
16.生体分子:脂質と核酸
17.代謝経路の有機化学

 

 

 

マクマリー 有機化学概説 (第7版)

マクマリー 有機化学概説 (第7版)

 
マクマリー有機化学概説問題の解き方 (第7版) 英語版
 

 

 

 

ボルハルトショアー(上)

 特徴

・マクマリー有機化学概説ではカバーできない専門的な内容も記載されている

・人名反応が豊富

・Sn2反応やE2反応など有機化学の基礎(なんならもう基礎と呼べない範囲まで)がかなり深く突き詰めている

有機化学についてかなり難易度の高い大学でも十分カバーできる

東京工業大学では実際に使われている教科書

 

内容

1章 有機分子の構造と結合
2章 構造と反応性
3章 アルカンの反応
4章 シクロアルカン
5章 立体異性体
6章 ハロアルカンの性質と反応
7章 ハロアルカンの反応
8章 ヒドロキシ官能基:アルコール
9章 アルコールの反応とエーテルの化学
10章 NMR分光法による構造決定
11章 アルケン:IR分光法と質量分析
12章 アルケンの反応
13章 アルキン
14章 非局在化したπ電子系

ボルハルト・ショアー現代有機化学 問題の解き方

ボルハルト・ショアー現代有機化学 問題の解き方

  • 作者:N.E.ショアー
  • 発売日: 2011/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)上

ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)上

 

 

 

 

バーロー物理化学(上)

 特徴

・基本的には大学編入の物理化学の範囲は上巻でカバーできることが多い

・例題は解答・解説があるが、章末問題は解答・解説が別。よってこの本だけでは演習量が足りなくなる可能性がある。

 

内容

気体の物理的性質

気体の分子論

化学系のエネルギー:熱力学第一法則

エントロピーと熱力学第二および第三法則

自由エネルギーと化学平衡

溶液

相平衡

溶液中の電解質

 

 

バーロー 物理化学 上 第6版

バーロー 物理化学 上 第6版

 

 

 

 

バーロー物理化学(下)

 特徴

・バーロー物理化学(上)よりもさらに専門的な内容

・ほとんどの大学では上巻のみで対応できるがたまにこの下巻の範囲が必要な大学もある

・上巻と同様、例題は解答・解説があるが、章末問題は解答・解説が別。よってこの本だけでは演習量が足りなくなる可能性がある。
 

内容

量子力学の要素

原子と二原子分子の電子構造

分子の対称性と電子状態

分光学

回折

電気的および磁気的性質

化学反応の速度と機構

素反応

巨大分子

 

 

 

バーロー 物理化学 下 第6版

バーロー 物理化学 下 第6版

 

 

 

 

アトキンス物理化学(上)

特徴

・個人的にはバーローよりもアトキンスのほうが使っている大学が多い気がする

・バーローよりもイラストが多め

 

内容

基本事項
第Ⅰ部 熱力学
1、気体の性質
2、第一法則
3、第二法則と第三法則
4、純物質の物理的な変態
5、単純な混合物
6、化学平衡

第Ⅱ部 構造
7、量子論への導入
8、運動の量子論
9、原子の構造とスペクトル
10、分子構造
11、分子の対称

 

アトキンス物理化学〈上〉

アトキンス物理化学〈上〉

 

 

 

 

アトキンス物理化学(下)

特徴

 

内容

12、回転スペクトルと振動スペクトル
13、電子遷移
14、磁気共鳴
15、統計熱力学
16、分子間相互作用
17、高分子と自己集積体
18、固体

第Ⅲ部 変化
19、分子の運動
20、化学反応速度論
21、化学反応動力学
22、固体表面における諸過程

 

 

アトキンス物理化学〈下〉

アトキンス物理化学〈下〉

 

 

 

 

 基礎物理学演習(1)

特徴

・演習向け参考書

・物理学の参考書だが、物理化学の熱力学の参考書としても利用できる

正誤表がネットで公表されている

 

 

 

 

 

J.D.Lee無機化学

特徴

 ・改訂版がしばらく出ていない

・大学無機化学の基礎は十分カバーできる

・混成軌道など編入試験でよく出題される範囲は基本カバー可能

 

内容

1.原子構造と周期表

2.結合と構造

3.元素の一般的性質

4.s-ブロック元素

5.p-ブロック元素

6.d-ブロック元素

7.f0ブロック元素

8.配位化合物

9.原子核

 

 

リー 無機化学

リー 無機化学

  • 作者:J.D. Lee
  • 発売日: 1982/04/15
  • メディア: 単行本
 

 

編入試験 よく出る! 人名反応

編入試験の化学では人名反応のように少し難しい反応がいくつか出てきます。

ただ、人名反応はマイナーなものからメジャーなものまでほんとに数が多いので今回の記事では実際に過去問で出題されたことのある人名反応について記事にしてみました。

反応の説明では反応の基礎的な説明から少し応用的な話(特に説明の後半で多い)も含めています。なので、まずは説明の前半だけを理解し、後半もぜひ読んでみてください。

 

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人名反応の王道中の王道、Grignard(グリニャール)反応

編入試験の中では一番頻出頻度が多い人名反応がこのGrignard反応でした。この反応はケトンまたはアルデヒドをアルコールに変換する反応です。まず、ハロゲン化アルキルをマグネシウムと反応させ、Grignard試薬を合成する。次にGrignard試薬がケトン、またはアルデヒドのカルボニル炭素に対して求核付加反応を起こします。

 

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エーテル合成の代表、Williamsonエーテル合成

この反応は反応機構がシンプルで分かりやすいので編入試験では出題されることも多い反応です。まず、塩基である水素化ナトリウムによってアルコキシド中間が生じ、ハロゲン化アルキルに対してSN2反応でエーテルを合成する。SN2反応では非プロトン性の極性溶媒を用いると、求核剤の基底状態のエネルギーを上げるため、反応性が高くなります。

 

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芳香環との反応では一番有名かも?Friedel-Crafts(フリーデルクラフツ)反応

この反応は上がFriedel-Craftsアシル化反応、下がFriedel-Craftsアルキル化反応と呼ばれます。どちらも反応機構は同じです。まずLewis酸である塩化アルミニウムが触媒として塩化アシル、塩化アルキルから塩素を抜き取ります。これによって活性化されたアシル化剤、アルキル化剤は芳香環に対して求核付加反応が起こります。最後に水素がプロトンとして脱離して反応が完成です。アシル化とアルキル化での違いはそのあとです。アシル基は電子吸引性なので、芳香環が置換された後、2つ目、3つ目の求核付加反応の反応速度は遅くなります。一方、アルキル基は電子供与基であるため、1つ目の置換が起こってから、2つ目、3つ目の求核付加反応が進行します。このため、Fridel-Craftsアルキル化は生成物が混合物となりやすい欠点があります(ただし、立体障害の大きいアルキル基では次の置換は抑制されます)。

 

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アミドからアミンに、Hoffman転移

この反応はアミドから炭素数が一つ減ったアミンを合成する反応です。塩基によるプロトンの引き抜きから始まり、脱炭酸に伴ってアミンに変換されます。

 

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Clemmensenの相方、Wolff-Kishner還元
この反応で出てくるアミノ基がH2NNH2はヒドラジンといい、ケトン、アルデヒドに対する反応ではよく出てきます。この反応は後で説明するClemmensen還元とは対照的に塩基条件下で反応が進行するというのが特徴の一つです。

 

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Wolff-Kishner還元の相方、Clemmensen還元

この反応はさきほどのWolff-Kishner反応と違い、酸性条件下で反応が進行します。ただこの反応では、水銀を必要としているので、もしかしたら上の反応機構を改良した優れた方法がすでに開発されているかもしれません(編入試験では上のように水銀を使ったものが出題されてましたが)

 

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エステルがないならケトンから作ればいいじゃない、Baeyer-Villiger酸化

この反応は過酸という通常のカルボン酸よりも酸素の数が一つ多い分子を使ってケトンからエステルを合成します。今回の反応機構ではm-クロロ過安息香酸が過酸として使われています。今回のように環状のケトンに対してBaeyer-Villiger反応を起こすと、ラクトン(環状エステルのこと)が合成できます。少し脱線しますが、実はこの反応を微生物(酵素)の力を使ってやってみようという研究もあり、印象的でした。

 

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二つのエステルを合わせて、Claisen縮合

この反応はアルドール縮合と同じような(というかほぼ完全に同じ)反応機構で進行するので、アルドール縮合を先に覚えていると簡単に反応機構が覚えられてしまいます。

 

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H1拮抗薬での中心的な反応、Mannich(マンニッヒ)反応

花粉症の人だと聞いたことがあるかもしれない抗ヒスタミン薬という薬の合成でよく出てくるのがこのMannich反応です。アルデヒド、二級、または一級アミン、α水素を持ったケトンによって進行します。α水素というのはカルボニル炭素の隣の炭素に結合した水素のことで、さらにその隣をβ水素、さらに隣をγ水素・・・と呼びます。

 

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割と珍しい環の形成方法、D-els-Alder(ディールス・アルダー)反応

この反応は僕が初めて知った人名反応なので割と思い入れがあります。この反応は今までのように分子や官能基の極性による反応ではなく、ペリ環状反応と呼ばれる種類のはんのうです。共役ジエンとアルケンの反応によって六員環のアルケンが合成されます。また、その関係性は立体特異的でシスのアルケンではシスの六員環が、トランスのアルケンではトランスの六員環が形成されます。たしか化学オリンピックの予選でもこの問題がでたことがありました。

 

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アミンからアルケンに、Hoffman脱離

この反応はアミンに過剰量のヨードメタンを加え、アルケンへと変換します。ここで使われる酸化銀は四級アンモニウム塩の対イオンをヨウ化物イオンからOH-にするために加えられています。

 

 

マクマリー有機化学(上)第9版

マクマリー有機化学(上)第9版

  • 作者:McMurry,John
  • 発売日: 2017/01/23
  • メディア: 単行本
 
マクマリー有機化学(中)第9版

マクマリー有機化学(中)第9版

  • 作者:McMurry,John
  • 発売日: 2017/02/12
  • メディア: 単行本
 
マクマリー有機化学(下)第9版

マクマリー有機化学(下)第9版

  • 作者:McMurry,John
  • 発売日: 2017/02/27
  • メディア: 単行本
 

 

 

ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)上

ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)上

 
ボルハルト・ショアー現代有機化学下
 

 







 

編入試験解いてみた 農工大工学部2021化学

 

 

今回は東京農工大学工学部の2021年の化学です

東京農工大学工学部の編入試験の過去問は一般に公開されているので、ぜひ解いてみてください

 

今年の農工大の問題はすべて大学の範囲も含まれていて、少し難しめかもと思いました。とくに無機化学の大問2は問題数も多く、他の大問より時間がかかっていました。

大問3は計算問題がなかったので、知ってさえいれば時間もかからずに解ける問題という印象でした。

 

大問1 物理化学

エントロピー、エンタルピー、ギブスの自由エネルギーは編入化学で出題頻度の高い問題なので、他の大学の編入試験の勉強にもなると思います

キーワード:有機ハイドライト、標準生成ギブスエネルギー、理想気体の状態方程式、標準生成エンタルピー、標準エントロピー、アレニウスの式、アレニウスプロット、水の標準モル蒸発エントロピー

 

アトキンス物理化学〈下〉

アトキンス物理化学〈下〉

 
アトキンス物理化学〈上〉

アトキンス物理化学〈上〉

 

 

 

大問2 無機化学

酸・塩基は他にもルイス酸・塩基、アレーニウス酸・塩基もあるのでこの二つもまとめて覚えておくといいかもしれません。

キーワード:原子半径・イオン半径と原子番号の関係、第一イオン化エネルギー原子番号・電子配置の関係、ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義、共役酸の意味、強酸と弱塩基の混合溶液のpH、格子エンタルピー、ボルン・ハーバーサイクル、塩化ナトリウム型構造、単位格子の密度計算

 

 

大問3 有機化学

編入試験の有機化学ではよくクメン法が出てくるのでこれも編入試験対策としておすすめの問題です。

キーワード:アルケンへのハロゲン化水素の付加反応、カルボカチオンの安定性、ニトロ基の電子吸引性、カルボニル化合物、クメン法、アルデヒドとケトンの求核付加反応の反応性の違い

 

ブルース有機化学 【下】 (第7版)

ブルース有機化学 【下】 (第7版)

  • 作者:Paula Y Bruice
  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
ブルース有機化学 (第7版) 【上】

ブルース有機化学 (第7版) 【上】