編入試験解いてみた 横浜国立大学2016専門化学
今回は横浜国立大学の2016年の専門化学の編入試験について解いてみました!!(*^。^*)
前回の記事では横浜国立大学の2016年の共通化学の編入試験について書いたので、今回はその続きという感じですね
やはり、共通化学の内容よりも大学の範囲が多く、より専門性が高い内容となっていました。
横浜国立大学の専門化学の編入試験の過去問では無機化学・有機化学・物理化学・分析化学の四分野でした。分析化学はほかの大学だと無機化学として出ることが多いのですが、横浜国立大学では、一つの分野として出題されていました。(^0_0^)
問1 無機化学
主に電気陰性度と錯体、磁気モーメントの問題という感じでした
磁気モーメントの大きさというのは磁石の強さみたいなものです。
キーワード:NO⁺、NO、NO⁻の電子配置・結合次数、同族元素の電気陰性度の比較、結晶場分裂の大きさ(強い配位子と弱い配位子)と磁気モーメントの関係
参考文献
https://www.rs.tus.ac.jp/enomoto_lab/pastexam/IC2/IC2_2010_1.pdf
問2 有機化学
やはり専門の化学ではマクマリー有機化学概説だけだとカバーしきれないなという印象です。マクマリー有機化学概説は化学初学者にはわかりやすく、おすすめですが、大学化学の深い専門性が必要となる場合はボルハルトショアーのような参考書が必要です。
キーワード:ベンゼンが芳香族である理由(構造、反応性)、メトキシ基が電子供与基である理由、ブロモベンゼンの合成(FeBr₃を触媒としたベンゼンのブロモ化)、グリニャール反応(第3級アルコールの合成)、ベンズアミドの加水分解(酸触媒及び塩基触媒)、Williamsonエーテル合成、Sn2反応、E2反応(第三級基質と強塩基の反応)
参考文献
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jo01266a021#
https://www.researchgate.net/figure/Acid-hydrolysis-of-benzamides-in-60-wt-H2SO4_fig9_221772552
What is the base catalyzed amide hydrolysis mechanism? | Socratic
マクマリー有機化学概説pp226
問3 物理化学
分子の構造といったミクロな世界から高分子製品の機械的強度というマクロな世界まで物理化学の問題の応用性を試しているようでした。今回の範囲はバーロー物理化学の上巻だけでなく、下巻からも出題されており、かなり高い専門性でした
キーワード:分子の構造と極性、電気陰性度と極性、単原子分子の温度変化による内部エネルギーの変化、単原子分子の温度変化によるエンタルピーの変化、浸透圧の計算、クラウジウス・クラペイロンの式、高分子鎖の配向と機械的強度の関係、一次反応の式、反応定数の実験的測定法
問4 分析化学
他の大学ではあまりないこの分析化学ですが、機器分析の原理が出てきたりとしっかり専門の問題でした。
機器分析についてはマクマリー有機化学概説やバーロー物理化学のように他の分野の参考書に記載があるので、それでカバーできそうであれば、一緒に使うのもありだと思います。
個人的には学校の授業で使っていた「基礎から学ぶ有機化学のスペクトル解析」という本は院試でも化学を使う予定の人にはおすすめです。この本では今回出題されたIRや吸光度測定のほかにもNMRや質量分析についての説明があります。
キーワード:緩衝液のpH計算、緩衝液のpH変化、緩衝液の作成、機器分析、分光分析、赤外吸収分光法(IR)、振動準位、官能基測定、吸光度測定法(ランベルトベール則)
今回はここまでです。ありがとうございました
編入試験解いてみた 横浜国立大学2016化学
今回は横浜国立大学の2016年、共通化学の編入試験の過去問を解いてみた、です
今回の範囲はけっこう大学の化学も多く出題されているなあという印象でした。思ったより難易度高かったです。横浜国立大学の編入試験の過去問は2017年の過去問も解いているのですが、それも今回と同じように無機化学・有機化学が中心でした。
DHAは黒酢と一緒だとさらに頭にいい効果があると報告されています。
化学1 無機化学
内容は高校化学と大学化学が半分ずつかなという印象でした。
高校化学の知識があれば解けるものもあるけど、大学の無機化学の知識もほしいという感じです
He2の安定性の説明で使った図は分子軌道法とよばれるものです。上の軌道ほどエネルギーが高いので不安定になり、下の軌道ほど安定になります。
キーワード:Lewis構造(三酸化硫黄、テトラヌルオロホウ酸イオン、アンモニア、一酸化炭素)、He2の安定性の説明(分子軌道法)、臭化水素とヨウ化水素の酸性の比較、炭素の同素体(黒鉛(グラファイト)、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ)
参考文献
化学Ⅱ 有機化学
内容はほぼ大学の有機化学という感じでした。だいたいはマクマリー有機化学概説でカバーできると思いますが、ピナコール転移やアセチレンの酸性度の説明などが抜けているのでボルハルトショアーのようにさらに詳しい参考書も必要になりそうです。化学が苦手で他の科目で点数を伸ばすつもりの人はマクマリー有機化学概説だけでも大丈夫だと思います(マクマリー有機化学概説の後半、アミンや機器分析など編入試験の範囲外となるところもあるので編入試験の範囲を確認してから問題演習をしてください)
キーワード:ヒドロホウ素化(逆マルコフニコフ則)、Diels-Alder反応、アルカリ融解法(ベンゼンスルホン酸からフェノールの合成)、ピナコール転移(1,2-ジオールからケトンの合成)、酸性度の比較(エチレン、フェニルアセチレン、メタノール、エタン、アセチレン)
参考文献
マクマリー有機化学概説pp110
今回の記事はここまでです。ありがとうございました
編入試験解いてみた 大阪大学2015工学部 化学
出題範囲 は大学範囲のみです。
しかもその内容は僕も習ったことが内容な深い専門性が問われるものでした。
これは学校の授業だけじゃカバーできないので、自主的にどんどん進めていくしかないです。
ただ、その分僕個人としては新しい知見に触れられたので達成感がありますww
さて、ここ最近の記事の更新が途絶えたわけですが、じつは、僕は編入試験で第一志望だった東京工業大学(略称は東工大)に進学し、引っ越ししました。
引っ越しの準備でいろいろやるべきことが多く、ここ最近は時間がなかったです。
今までは春休みを利用して編入試験の過去問を解いてきましたが、今後は学校やバイト、サークルなどで忙しくなるので、更新が今まで通りとはいかなくなってしまいます。
それでもたまにこうして編入試験の過去問を解いて記事を書くので読んでくれるとありがたいです。
問題1 物理化学
キーワード:ビリアル係数、ファンデルワールス係数、圧縮因子、理想気体の圧縮因子
参考文献
https://www.chem.miyazaki-u.ac.jp/~shiomori/shiohp/PCHEM1_4.pdf
問題2 無機化学
キーワード:炭素の同素体(ダイヤモンドと黒鉛)の性質について説明、窒素酸化物(一酸化二窒素、二酸化窒素、一酸化窒素)、ルシャトリエの原理、NO⁺の安定性について説明、ニッケルの錯体(配位子はCO、CN、NH3)の構造及び磁性
参考文献
問題3 生物化学
キーワード:アミノ酸、電離、アミノ酸の立体構造の判別と命名、たんぱく質の構造について説明(一次構造、二次構造、三次構造)、酵素の働きの説明(エピメラーゼ、リパーゼ)
参考文献
生体分子の化学pp64
キーワード:電気陰性度と原子番号の増加、原子半径と原子番号の増加、16族元素の水素化物の結合角、メチルカチオン(CH₃⁺)、メチルアニオン(CH₃⁻)の構造、環状分子のシス-トランス異性体の安定性(ジメチルシクロプロパン、1,3-ジメチルシクロブタン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン)、極性分子
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/22/4/22_4_272/_pdf
J.D.Lee無機化学pp245
問題5 有機化学
キーワード:Sn1反応、E2反応、オキシ水銀化-脱水銀(Marcovnikov則)、ヒドロホウ素化(逆Marcovnikov則)、四中心遷移状態、Wolff-Kishner還元、アルドール縮合、アルドール生成物の脱水:エノンの合成、Wittig反応
参考文献
File:Example of Zaitsev's Rule.png - Wikimedia Commons
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/28/2/28_2_206/_pdf
マクマリー有機化学概説pp222,291
今回はここまでです。ありがとうございました。
編入試験解いてみた 横浜国立大学2017 化学
今まで解いた編入試験の問題を眺めていると、横浜国立大学の編入試験の過去問、まだ解いてないんだなと気づいたので、今回の編入試験解いてみたでは横浜国立大学の化学にチャレンジしました(; ・`д・´)
大きく分けると無機化学と有機化学から構成されていて、無機化学は少し大学の無機化学が混ざっていましたが、有機化学は高校化学の範囲だけで対策可能でした
無機化学で大学の範囲があるとはいっても混成軌道の有名な化合物(メタン、エタン、アセチレン)なのでそんなに専門性が高い無機化学でもないです。♪~(´ε` )
化学Ⅰ 無機化学
周期表上に原子を並べると、同じ族では性質が似るのって面白いなあと感じてますww
ちなみに東工大では原子の集まり、クラスターと呼ばれる原子群の新しい周期表が作れるかも!?という研究があります。ちょー気になりましたww
キーワード:構造式(三フッ化ホウ素、ジメチルエーテル、メチルラジカル、オゾン、二酸化炭素)、同族元素の性質の違い(原始半径、第一イオン化エネルギー、電気陰性度、イオン半径)、共有結合の説明、イオン結合の説明、金属結合の説明、メタン、エタン、アセチレンの構造と混成軌道
化学Ⅱ 有機化学
僕が高校生のころ、p-フェニルアゾフェノールの無駄になが~い名前を覚えるのに苦労しましたww
なぜか変な風に覚えてしまっていたんですよね( ^ω^)・・・
キーワード:ベンゼンのニトロ化、アニリンの合成、クメンの合成、フェノールの合成(クメン法)、p-フェニルアゾフェノールの合成、ジアゾ化、カップリング
今回はここまでです。ありがとうございました。(*^。^*)
編入試験解いてみた 大阪大学2016 基礎工学部
全体的に難易度は高い問題が多かったです
この年の化学に関しては大学の化学の比重が他の大学よりも高い印象でした
その分、非化学の学科では問題が選択できるのはいいなと思います
逆に化学の学科ではこの三つ全部が範囲なので大阪大学専用の勉強計画が必要だと思います
問題1 物理化学
物理化学の内容はバーロー物理化学の下巻が参考になりそうでした
ただ、物理化学の今回の問題は数学的に解くような問題だなあという印象です
人が光を感知する仕組みという生物の分野と物理化学の分野が融合しており、面白い問題でした
今回の問題で出てきたレチナールという分子はビタミンAから合成されるので、ビタミンAが不足すると暗いところで物が見えなくなる夜盲症という病気になります。
微分方程式は物理の科目でばねの問題や空気抵抗の問題でよく見ますが、化学では珍しいですね
キーワード:反応速度定数、微分方程式、中間体の生成と反応、中間体の濃度と時間のグラフ
問題2 無機化学
キーワード:系統分離(鉄、亜鉛、鉛、カルシウム、銀、ナトリウム)、鉛イオンと塩化物イオンの反応、鉛イオンと硫化水素の反応(酸性条件)、鉛イオンとクロム酸カリウムの反応、鉄(Ⅲ)イオンとアンモニアの反応、カルシウムイオンと炭酸アンモニウムの反応、炎色反応の原理の説明、炭酸カルシウムの加熱の反応式、生石灰と水の反応の反応式
最初、白色沈殿は塩化銀かなと思ったんですが、塩化銀はクロム酸カリウム加えても黄色くならないし・・・あれ?でも硫化水素加えてできる黒色沈殿これなんだ??
っとけっこう難しいとかんじました"(-""-)"
ヒントは白色沈殿が加熱で溶けるというところですね、温水で解けるということは溶解度が高いのかなと、ここで考えるポイントがありました。溶解度が高いならろ液に残るはず!!
内容としては高校化学の範囲で解けますが、かなり知識量が求められるので、チャートとセミナー化学基礎+化学の両方などで対策がおすすめです
参考文献
硫化水素によって生じる沈殿一覧 | Chemihack:おうちで学べる化学
問題3 有機化学
有機化学の問題って他の大学にも言えることなんですが大きく分けると二つの問題のパターンがありますね
一つは分子の構造からその性質を考える問題
二つ目は化学反応の知識で生成物などを答える問題です
今回もそういう感じでした
内容は高校化学と大学の有機化学の両方ですね。大学の有機化学はマクマリーだけでも対応できそうでした
キーワード:マレイン酸・フマル酸の構造と性質、光学分割、アルケンの酸化(過マンガン酸カルシウムとの反応、酸性及び塩基性)、メソ体、ヘミアセタールの合成
今回はここまでです。ありがとうございました
編入試験解いてみた 東北大学2012共通化学
今回の記事は東北大学の編入試験、共通化学を解いてみたという内容です。
2019年~2012年の編入試験の過去問の中では一番難しいと感じました・・・
そういうわけで解答づくりもちょっと時間かかりましたww
特に物理化学では今まで熱力学の基礎的なことが多い印象でしたが、今回は問題数が少ない分、難易度の高い問題でした
問題Ⅰ 物理化学
これは少し難しかったです。一応熱力学に入るとは思うのですが、気体の性質だけでなく、化学反応の進行も考えるので、本当の意味で物理化学という問題でした
キーワード:炭酸カルシウムの熱分解、圧力とギブスの自由エネルギーの関係、理想気体の状態方程式(PV=nRT)
参考文献
アトキンス 物理化学問題の解き方 (学生版) (第10版) 英語版
- 作者:Trapp,Charles,Cady,Marshall,Giunta,Carmen
- 発売日: 2017/02/20
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問題Ⅱ 無機化学
高校化学のなかで、触媒を使った化学原料の合成はハーバーボッシュ法、オストワルト法、そして、今回の接触法の三つがメインです。どれも化学には必要不可欠なものを作るための合成方法です。
キーワード:接触法、硫黄化合物の性質(二酸化硫黄の水溶性、酸性雨)、濃硫酸を用いたアルコールの脱水(アルケンの合成)、濃硫酸を希釈する際の実験上の注意、二酸化硫黄の合成(亜硫酸ナトリウムと希硫酸の反応)、濃度測定(中和滴定)
参考文献
高校化学、亜硫酸ナトリウムと希硫酸の化学反応式について。化学反応式がNa2SO3... - Yahoo!知恵袋
問題Ⅲ 有機化学
今回の有機化学は分子の構造からその分子の性質を考えるという問題でした。
今回のように化学に知識があると、分子の構造を見たとき、他の人とは違った景色が見えてきます
この分子は極性が高いから水に溶けやすいだろうな~とか
この分子は環の歪が大きいから不安定なんだろうな~とか
これが分子の構造でその性質が予測できる・・・これが化学の面白いところだと思ってます!!
その景色は化学を学んだ人間だけが見ることができるものです。
まあ、僕もまだまだ勉強不足ですけどね♪
キーワード:炭素原子の混成軌道、分子の構造と沸点の関係、分子の構造と電離度の関係、分子の構造と極性(双極子モーメントのベクトル和)、二重結合の共役による安定化、ハロアルカンの合成(アルカンとハロゲンの光照射による反応)
参考文献
http://acbio2.acbio.u-fukui.ac.jp/phychem/maeda/kougi/ExpIV/PC_Exp1.pdf
今回はこれで終わりです。ありがとうございました
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編入試験解いてみた 東北大2013 共通化学
いままで解いた過去問のなかにはなかったので少し面白いなと感じましたww
結晶のX線回析は物理の波動の分野とも被るのですが、僕が志望した農工大や東工大では波動はあまり出なかったのと、もともとニガテ意識があったので(ニガテというか波動の図を描くのがめんどうであまりやらなかっただけですがww)久々でした。
全体の内容では高校化学中心で一部大学の範囲も含まれるという感じです(要するにいつも通りです)
問題Ⅰ 物理化学
ここでは触媒関係の問題が多かった印象です。活性化エネルギーだったり、化学平衡だったりですね。触媒化学は無機化学、有機化学(willkinson触媒というアルケンからアルコールを合成する触媒がある)、生物化学(酵素)、物理化学といろいろな分野にまたがっているので応用範囲が広いのが特徴ですね
キーワード:水素とヨウ素の反応、結合エネルギーの計算、活性化エネルギー、触媒、圧平衡定数
類題
北海道大学2019化学問1設問3(触媒と活性化エネルギー)
農工大2017化学1⃣[3](単位格子)
東北大学2014化学問題Ⅱ問2
問題Ⅱ 無機化学
無機化学って物理とも関係が深いんだなと改めて実感する問題でした
キーワード:溶液、溶質、溶媒、飽和溶液、溶解度、単位格子、六方最密充填、立方最密充填、面心立方格子、モル濃度の計算、析出量の計算、再結晶、Braggの回析法則、X線回析法
参考文献
X線回折装置の原理と応用 | JAIMA 一般社団法人 日本分析機器工業会
問題Ⅲ 有機化学
個人的に一番面白かったのは電子レンジの問題ですね。昔調べたことがあったんですが、もう忘れてしまっていたので、いい復習になりました
分子の極性は分子の構造の対象性が重要です
光学異性体は医薬品の合成や農薬の合成などでめちゃくちゃ重要とされる分野です
キーワード:分子の極性、電子レンジの原理、アルコールの酸化(1級~3級の違い)、アルケンの水素付加、エステル合成(脱水縮合)、ハロアルカンの合成(アルコールと臭化水素の反応)、(質量%を用いた)分子式の決定、鏡像異性体(エナンチオマー)
類題
今回はここで終了です。勉強頑張ってください!